19 絶滅危惧植物「カザグルマ」の挿し芽栽培 

 2002年6月16日(日)15〜17時
 兵庫県立人と自然の博物館主催の第2回カザグルマの増殖で、挿し木栽培の講習会2回セット(受講料千円)に参加しました。ここで育てた苗は、講座参加者が里親となって栽培箇所を分散することにより、保護すると同時に情報交換することが目的です。
1.挿し木の利点
 親と同じ種類が得られる(種の場合は親と異なる事がある)。
 種子苗より生長が早い(カザグルマの場合種子が発芽するのに1年近くかかる)。
 古木を若返らせる。
2.挿し木の時期
(一般に空中湿度の高い梅雨時)
 針葉樹:2月下旬〜3月上旬、梅雨時期
 広葉樹:4月頃、梅雨時期、9月頃
 落葉樹:3月〜4月上旬、梅雨時期
3.挿し床の土

 肥料分のない(雑菌の少ない)土を使用
 適度な水分を保持し、水はけがよい土を使用 適度に空気を保持する土を使用
 新しい土、中性の土を使用
 バーミュキュライト:川砂=6:4 または
 バーミュキュライト:鹿沼土=6:4 
4.挿し穂の準備

 日当たりがよく、成熟した枝を選定。
 朝か夕方に採取(日中は採集しない)。
 太い枝はさける。
 古い枝はさける。
 本年生の枝を用いる場合は硬くなった枝を使用。
 カザグルマの場合2芽挿し(2節分の長さ)。
 鋭利なナイフで切り取る。
 葉数が多いときは適当に葉を間引く(大きい葉は半分に切り落とす=蒸散作用を防ぐ)。
 挿し穂を作ったらすぐ水に浸ける(水揚げをよくする)。
5.挿し穂の実施

 挿し床はあらかじめたっぷり水を与えておく。
 挿し穂の切り口に植物ホルモン(ルートン、メネデール等)を付けたほうが発芽しやすい。
 割り箸で孔をあけて、挿し穂を直接挿し床に突き刺さない。
 挿し穂の半分以上を埋め込む。
 挿した後は用土をしっかりと押さえて挿し穂がぐらつかないようにして、たっぷりの水を与える。
6.管理

 日陰に置く(寒冷紗で日よけする)。
 水を切らさない(雨の日以外は1日1回水を与える)。
 水やりは静かに与える。
 強い風に当てない。
 しばらくの間挿し穂を触らない。
 十分根が伸びるまで肥料は与えない。
7.定植

 露地植えするまでに一度鉢植えして丈夫な根を育成する。
 木本:9月〜10月頃
 草本:活着後〜7月上旬頃
 上記記載内容は講習会資料より抜粋

 カザグルマ(キンポウゲ科、センニンソウ属)
 環境省RDBで絶滅危惧U類、名前は子供の玩具の「風車」に見立てたものです。日本列島秋田県から南に分布して、一般には蛇紋岩の崩壊地に群生し、花の色は白から青紫まである。園芸的によく利用されるクレマチスの仲間には、江戸時代、シーボルトらによってヨーロッパに持ち出されたカザグルマを改良され、日本に逆輸入されたものが多くあります。夏緑性のツル植物で、花期(5〜6月)には、当年枝の先に花柄をだし、その先端に上向きに径7〜12センチの花を開き、花弁(実際はがく片)は8枚です。

8月18日 第二回カザグルマ講習会
 カザグルマの講習会で、挿し芽に成功した方は4割ほどいました(おやじは全滅)。失敗者がいたと言うことで、博物館側が挿し芽して準備していた苗を頂くことになりました。ただし、全員の分がなかったのであみだ抽選でした。おやじともう一人の方とで、挿し芽された苗をポットに1つずつ株分けしたお駄賃として、おやじともう一人の方共に抽選に当たり、白花と紫花の挿し芽の苗を貰ってきました。家に帰るなり早速鉢に植え替えましたが、大きな葉がついているのを選んだつもりが、根はそれほど生えていませんでした。
 カザグルマの講習会と言っても、内容は各自挿し芽した結果の反省及び話し合いでした。空中湿度を保つ。風に当てない。毎日水を与える。日陰に置く。針金で支柱を作りビニール袋を被せて1ヶ月ほどそっとしておくなど。
 2日ほどして、紫花の挿し芽の葉が枯れ出しました。もしやと思って、根を見ると短く付いていたのがすべてとろけてしまって結局は枯れてしまいました。白花の方は根が沢山ついていたので、大丈夫と思いましたが一般園芸の土から、山野草の土に植え替えました。

5月11日に兵庫県立人と自然の博物館、
ジーンファームにて撮影

 6月16日にカザグルマを挿し芽したもの

 6月16日 約26名の受講生は約1時間の挿し木栽培の講義及び話し合いの後、後ろの新聞紙が敷かれた理科実験テーブルに移動し、各自挿し芽の実習を行いました。1人1本ずつの白花カザグルマの枝と赤花カザグルマの挿し穂1本と用土(今回鹿沼土がなかったので、バーミュキュライトと日向土を混合)の入った鉢を各自取りそろえました。カザグルマの枝は、出来る限りよい枝を取ろうと取り合いになりました。できたら講師の方が1本ずつ手渡した方が混乱なく良かったと思います。

 まず、カザグルマの枝を大まかに二芽ずつカッターで切ってから再度挿し穂の切り口を葉の付け根近くで切り直しました。下部の葉は取り除き、上部の葉のみとして切り口にルートンを付けました(容器の口が小さく付けにくかったので、手のひらに出す)。挿し穂の切り口保護のために割り箸で用土に穴を開けてから、挿し穂を差し込み上からぐらつかないように手で押さえつけました。用土に半分ほど差し込むこととなっていましたが、枝がひっかかって思うようには差し込み出来ませんでした。
 全然葉の付いていないもの(他の人が葉が付いていないのでいらないと言ったもの)や、茎先端の細いものまで、とにかく何でも用土に挿しておきました。全部で8本ほどの挿し芽になりましたが、果たして何本根付くか分かりません。

 自宅に帰ってから、バーミュキュライトを上に追加して枝がぐらつかないようにしました。置き場所は、いつも管理出来るようにパソコン部屋の外のベランダに置いて、メネデールを薄く希釈した液を毎日噴霧しています。

  7月6日
 挿し芽していた葉も順次茶色く枯れだしていたのでハサミで枯葉を切り取りました。この様子だと根付いている様子はありません。挿し穂を作ったらすぐ水に浸ける(水入れ容器が無かったので)ことをしなかったので水揚げが悪くて枯れてしまったのかな?それとも置き場所が悪く、風で挿し穂がぐらついたかな?


  8月20日山野草の土に植え替えた。

 9月28日→
 
鉢に定植してから約1ヶ月が経過して、上部からは新しい葉が出てきました。黄緑色の葉が沢山育ってきたので、もう放っておいても大丈夫でしょう。昨夜からの雨に濡れて、葉は生き生きしています。

  2003年1月5日 ↓
 
あれからずっとほったらかしにされたカザグルマも、上部の葉はすっかり茶色く枯れてしまいました。今日はこの冬一番の冷え込みで、鉢も受け皿と一緒に凍り付いていました。写真を撮るときによく見ると、節目より緑の新芽が2個現れてきていました。

 

  2003年3月22日 
 
春を待ちかまえていたかのように、節目の2カ所より新芽が伸び出してきました。

 2003年4月6日 
 
つる性植物のごとく節目から現れた蔓及び葉がかなり伸び始めました。伸び出した先端の二股からは小さな蕾らしきものが3個出てきました。

  2003年4月19日 
 
蔓も少しずつ伸び出したので、支柱を立てて補強しました。蕾もかなり膨らんできています。蕾が育ち始めると、養分を花に使われるのか全体の株の育ちが遅くなったように思えます。早く花の咲くのが待ち遠しいです。

 

   2003年4月29日 
 
三つ付いていた蔓も、一つ目は八枚の白い花びらが8割方開きました。二つ目は今日開きかけたばかりです。三つ目はまだ蕾のままです。株もまだ大きく育っていないので花も小ぶりのように思います。

   2003年5月1日 
 
完全に開いた花びらを撮影しようと思って、前日遅くまで起きていたにもかかわらず、7時過ぎには起きて撮影をしました。一番最初に開いた花びらは、昨日の雨風で少し疲れた様子でだらんとしていました。夕方早く帰ってきたので、カザグルマの様子を再び覗きに行くと朝より元気を取り戻し、しっかり開いていたので再度撮影し直しました。花の大きさを定規で測ってみると直径約7センチありました。

  2003年5月4日 
 
三つの蕾もすべて開花しました。花びらが弱々しいのですぐに散ってしまうと思っていたのですが、最初に咲いた花もまだまだ元気で優雅な姿を見せています。左下の画像をクリックするとその全容を見ることが出来ます。

 2003年5月11日
 
1週間が過ぎても、まだカザグルマは咲いていますが、何者かに花びらを食べられて無惨な姿に変わりつつあります。いったい何が食べているのでしょうか? ナメクジ? 

 2003年5月24日
 
白い花びらも完全に散って、カールした髭が伸びてきました。この根本に種が出来るようですが、種を採取して育てても、発芽が難しいので写真撮影後には、三つともハサミで切り取りました。花が咲いている間は、株の成長は止まっていましたが、これから再び株が大きく育ってくれるかな?

 2004年5月3日
 
挿し芽してから丸2年が経ち、株もすっかり大きくなって、白くて清楚な花が沢山付きました。この画像をもってカザグルマの栽培記録は終わりたいと思います。長い間お付き合いありがとうございました。

2004年4月29日撮影

 

 

 

 

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