18 絶滅危惧植物「オキナグサ」の種子栽培 

 平成14年5月19日(日)15〜17時
 兵庫県立人と自然の博物館主催の第1回オキナグサの種子栽培2回セット(受講料千円)に参加しました。ここで育てた苗は、講座参加者が里親となって栽培箇所を分散することにより、保護すると同時に情報交換することが目的です。

 約30名の受講生は昔懐かしい理科実験室の部屋に集まりました。最初にこの講座の目的について説明がありました。
1.植物の特性・生育環境をしる。
2.自分の手で苗から育てる。
3.結果を共有する(里親登録→モニター)
 場所を移動して、オキナグサが育っている環境をパネルを見ながら説明がありました。絶滅危惧の原因は、
1.園芸用に採取
2.開発による草原の減少
3.植生の遷移(手入れされなく放置された草原の植物体系の変移)が考えられます。

 オキナグサはキンポウゲ科の多年草で、陽当たりの良い 山野に自生して4〜5月に暗紫色の釣鐘型の花を下向きに沢山咲かせます。花が終わると種子に羽毛状の毛が伸び、それがたくさん集まっている様子が老人の白髪のようなので、「翁草」の名前が付いています。 環境庁発行のレッドデータブックによると絶滅危惧U類に揚げられています。今回、種子栽培に使用されたオキナグサは、兵庫県関宮町産(氷ノ山)の種子です。

 種子栽培のコツは、採取したらすぐ播くことが大切(取播き)で、1ヶ月室内に放置しておくと発芽力がなくなります。種子による繁殖は簡単で、毛の部分を取り除いて播けば2週間ほどで発芽します。播き床は、鉢底に日向土(中粒)敷きその上に腐葉土を敷いて次ぎに花の土を敷いて上部に川砂(天竜川砂)を敷いた上に種を播きます。日の良く当たる所に置いて乾かさないように毎日水遣りします。

6月9日(3週目)→
やっと二葉が出てきました。数えて見ると10個ほど出ていて、まだ種の皮が葉に付いているのもありました。

6月16日(4週目)
早い芽は、二葉の間より本葉が出てきました。

オキナグサより採取した種

紙の上でハサミで毛を切り取る

川砂の上に直接上記の種を約35粒播く 

5月26日現在、種には何も変化が現れていません。

6月2日現在、種は割れて少し根らしきものがはみ出してきています。


  6月9日(3週目) 二葉が出てきました

 7月2日(1ヶ月と2週間目) 手のひらの形をした本葉が育ち始めましたが、35個の種撒きから本葉が出たのは、たったの6個しかありません。この原因は、水遣りの時に黒ポリの縁の隙間に種が入り込んでしまったかな?

 7月6日↑
別に、何もわからず自分勝手に種を播いた方(2週間ほど早く)がたくさん育っています。

  7月10日
種蒔きしたオキナグサの鉢をよく眺めると、糞らしきものが付いていました。葉っぱも食べられて少なくなっていました。何かいるなとよく観察すると、ヨウトウムシ(夜のギャング)が一匹いました。こんちきしょ!と思いながら押しつぶしました。
 ←7月13日
上記の鉢の苗を、根を切らないように水で洗い流しながら、大鉢に株分けして移し替えました。根は真っ直ぐに伸びバーミュキュライト下の栄養層(バーク層)まで達していました。

 7月27日(日)15:00〜16:00 第二回「オキナグサの種子栽培」の講習会。
 講習会と言っても、第一回目に各自が種蒔きした結果の報告会です。約30粒の種を播いて、一番多く発芽成長したのは25株で、最低はゼロでした(私の場合は7株でした)。その原因は、ダンゴムシやナメクジに食べられた人、持ち帰るまでにポットをひっくり返した人様々です。
 今回の栽培から、オキナグサのヒゲを切らなくても発芽すること水撒きしたときに種が浮き上がらないように、少し覆土した方が良い結果が得られる(これは私の栽培から)と思いました。上手く育たなかった方もいたので、博物館側で別に育てていた苗を、代表者が小さなポットに数株ずつ株分けして(各人が行うと取り合いになるので)配ってくれました。
 別にサギソウの苗も一株ずつ頂きましたが、持ち帰った頃にはひっくり返って、可哀想に茎が折れてしまっていました。また別に、フウランの種子を寒天培地で無菌栽培した苗が、希望者には差し上げると言うことなので、これも貰ってきました。貰える物は何でももらう、これが「けちけち園芸」の精神です。このフウランの苗は、青ネギが刻んだような小さな苗で、平鉢に水苔を敷いた上に並べました。貰ってきたオキナグサの苗も、昨年種蒔きした大きめの苗は単独に鉢植えし、今年の苗はすでに定植していた鉢に一緒に植えました。
  殺菌剤は、ベンレートが一般ですが、専門家はトリフミンアミスターを使っているとのことでした。

←8月24日
7月13日の大鉢に植えた、オキナグサの苗も、肥料負けしたのか、小さめの苗は徐々に枯れ始めました。これは大変だと、再度大きめの苗だけを取り出して、鉢底に竹炭を敷いて、山野草の土とマグアンプだけの水はけの良い土に植え替えました。
 今のところ順調に育っています。

 8月25日 今日何気なく植木鉢を覗くと、中央の新芽が葉がしわくちゃな状態で枯れかけていました。何でだろうと思ってよく観察すると、糸状の物が葉の裏側に数カ所ぶらさがっていました。摘んでみると動くようで、何かの幼虫でした。さっそく摘み出すと同時に殺虫剤(乳化剤)で消毒しました。

 ←9月28日
 
時々は鉢の様子を覗き込みながら水やりをしています。葉っぱもバッタ君か幼虫かに食われて、穴空きになったり枯れたりしているのがあります。その度に葉の裏を覗いたりして幼虫が付いていないか確認しています。
木酢液の希釈液でも2回ほど消毒しました。大分に葉も根もしっかり育ってきたように思います。

  2003年1月5日
 
上部の葉もすっかり茶色く枯れた状態になっています。大きな株は単独に大きな鉢に植え替えたのですが、いくつか寄せ植えしていた鉢の方が株も元気に育っているようです。今日はこの冬一番の冷え込みで、鉢の中の用土もガチンガチンの凍り付いていました。でも株は寒さにいじけることなく、中央から新しい芽が誕生し始めていました。右下の写真は西洋オキナグサの種を、園芸店より手に入れて5月25日に撒いたものです。まだ苗も小さいですが、葉が枯れることなく青々しています。

  2003年3月22日
 
暑さ寒さも彼岸までと言われるように、次第に春のやわらかな陽ざしのもと、オキナグサも新しい新芽が出始めました。その若い株の一つに中央から産毛で覆われた花芽らしきものが現れていました。

 上二つは、兵庫県関宮町鉢伏高原の種子より育てたもの。下は一般園芸店で売られている西洋オキナグサの種子より育てたものです。

  2003年4月6日
 
焦げ茶色の蕾も、乙女が恥じらうようにうつむきかげんに徐々に花びらが開き始ました。後ろにはもう一つ蕾が付いていて背丈も急に伸び出し15センチほどになりました。

 西洋オキナグサの方が、葉の色は濃くて、蕾はひとつも付いていません。

 2003年4月12日
 
平日朝は起きるのが遅いので、朝早くから撮影している時間がありません。やっと週末になってオキナグサの花を撮影することが出来ました。でも花びらは完全には開いてくれず、おちびちゃんで、おまけに下向くに咲いているので、花の中を撮影するのには苦労しました。

 

2003年4月23日
 
オキナグサの花が散った後に筆のようになり、細い髭状のものが広がってきました。これが徐々に”翁草”の言われの老人の白髪のようになって、羽毛状の白毛のある種になるそうです。風で揺れ動くとピンぼけになるから、風がおさまるまでじっとデジカメを構えて、眼鏡をはずして、液晶画面を覗き込んでいました。でも出来上がりは少しピンボケになっていました。

 2003年5月11日
 
恥じらうかのように垂れ下がって咲いていたオキナグサの花も、種が生長すると共にまっすぐと伸び出してタンポポの綿毛のようになってきました。これは、子孫繁栄のために出来るだけ遠くまで種が飛ばせられるようにと、精一杯背伸びしているようでした。
 今年は、まだ株も小さくて花が少ししか付きませんでしたので、来年にはいっぱい花を咲かせるために、まず株を大きく育てることが大事だと思って、白髪の翁を撮影した時点で切り取りました。

 2004年4月18日
 
1年近く経って、冬にはすっかり上部は枯れてしまいましたが、春の訪れと共に再び新芽が出て来ました。その中央からは綿毛に包まれた蕾が幾つか現れて次第に大きくなり4月初めには花が咲きました。朝方撮すと、花は恥かむようにずっと下を向いたままでした。また西洋オキナグサも一時はダメかなと思っていましたが、白い花と薄黄色の花が咲きました。
これをもって、オキナグサの栽培記録は終わりにしたいと思います。
長い間お付き合いありがとうございました。

以上は4月10日に撮影 (白い花は西洋オキナグサです)

この2つは4月18日に撮影

4月22日に撮影したオキナグサの綿毛 (最後のおまけ)

 

 

 

 

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