すべての生き物には寿命があります。切り花といえど生きている植物なので、いつかしおれて枯れてしまいます。植物の生理的な仕組みを理解することにより、少しなりとも植物を長持ちさせることができます。
1.切り花は夕方に切る
たいていの植物は、早朝には水分が多くて養分備蓄量が少なく、夕方にはこの逆になります。その為、養分を充分蓄えられた日没ごろ切ってすぐに水揚げするのが良いようです。
2.水揚げをよくする工夫をする
切り口からの吸水が妨げられるのは、花茎を切った時に導管(水を運ぶ管)がふさがれて水の流れが悪くなるからです。その原因は、茎を切ったときに導管に空気が入り込むことや、ポインセチアのように切り口から乳液が分泌することによります。
また、花瓶中の水の中で微生物が繁殖して切り口をふさいでしまうことがあります。
上記の原因を出来るだけ抑えるために、
●水を貯めたバケツや桶の中で、よく切れるハサミやナイフで茎を斜めに切ります。
●水の中に浸かる葉は、微生物発生の原因となるので取り除きます。
●花瓶と水は清潔にしましょう。ヌルヌルが微生物の発生原因によるものです。
●花瓶に花をいっぱい詰め込むのはやめましょう。水中の酸素不足や微生物が繁殖しやすくなります。
●水中の中で繁殖した微生物を減らすために毎日水を交換しましょう。
●強い日射しや、クーラーの風が当たる場所に置くのは避けましょう。
キリンのBasic Lessonより
●緑茶の出がらしを天日で乾かしたのを、保存しておいて粉々にしておき、花器に大さじ1杯ぐらい入れると、花がみるみる艶がよくなって長持ちするそうです。
メールマガジンより
●家庭用ハイター(漂白剤)を少し花器に入れると、微生物の繁殖を防ぎ長持ちするようです。
水揚げ法(切り口の処理)
■水切りする(カラー、ライラック、リアトリス、スイトピー、アガパンサス、フリージア、グラジオラス)
■塩をこすりつける(カラームージュ)
■砕いて、ハッカ油に浸ける(アスター)
■塩をすり込むか、ハッカ油に浸ける(コスモス)
■熱湯に浸ける(ダリア)
■焼くかアルコールに浸ける(クチナシ)
■砕いて熱湯に浸ける(リンドウ)
■熱湯かアルコールに浸ける(ガーベラ)
■酢に数秒浸ける(ヒマワリ)
■砕いてアルコールか酢に浸ける(アジサイ)
■砕く(ストック)
3.鮮度を保つ
切り花の老化は温度と関係が深く、低温ほど花もちが良くなります。花の老化が進むとエチレンの発生が増え、それが他の花を傷める原因となります。
薬剤処理として、水中に切り花保存剤(微生物の繁殖を抑える殺菌剤とエネルギー源としての糖や酸などが入っている)を入れて花もちをよくします。
花づくりテキスト9「家庭の花づくり」より
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